Monday, 17 December 2012

チューニング

NZを離れるにあたって一番残念なのは、英語のテレビが見れなくなる事です。テレビ大好きの私はアメリカのドラマや番組も見ますが、英語の勉強という面ではやはりイギリスのドラマや番組には叶いません。何度も再放送されるOne foot in the graveや Waiting for God など、ブリティッシュイングリッシュのコメディは内容的にも言葉的にも最高なのです。吹き替えや字幕は見づらかったり嘘っぽかったりでどうも私は嫌です。
大家のお母さんは唯一の楽しみとして有料放送に加入しています。BBC専用のチャンネルがあって私は普段もうかぶりつきで見ています。お母さんは身体障害者の住居で週四日、泊り込みの時間帯にお世話をしていますが、一度も「仕事もしないで」と皮肉を言われた事もないし、むしろ用心が良いと喜んでくれます。

最近紹介してもらった本にもあって、モールスコードを少し教えてくれた元通信士のジョンさんもよく言うことに、チューニング(tune in)が大事ということがあります。ラジオも人もそれぞれ異なった周波を出しているため、波長を合わせる事が大切なんだそうです。突っ張ってばかりいたら周波数が合わずに結局雑音だらけか応答なし、ということになるし、また周波数が合っても似たものどおしが集まるので、前向きな人には同じ周波数の人が応答し、暗い人には…ということになります。たまたまそのとき私の発した周波数がお母さんの周波数と合って跳ね返った結果なら、こうして出会えてお世話になれたのも、偶然とか幸運というよりは、自分で作り出した結果なのだから大変なことだと思います。

宇宙は数え切れないほどの周波から成っているといっても過言ではないとか。これからもずっとずっと、今までに出会って良い影響をたくさん与えてくださった方々と、ピッピッと交信を続けていきたいです。over and out for the last time と言う日が来るまで。

Sunday, 9 December 2012

万が一

私は昔から小心者で、いつもどうしよう、どうしようと悪い方に先を考えては不安を募らせます。万が一に備えて、という名目も含めて、細かい物を常に持ち歩いたり、いただいたものをいつまでも大事にしまいこんで安心するのです。

ジョンおじいさんは、太平洋戦争のほとんどを四国にある国内初の捕虜収容所で何百人という主にアメリカ兵と一緒に過ごしました。「一番辛かったのは空腹だったこと。食べものがほんの少しでも手に入ると、万が一に備えて、団子状にして隠し持つよう言われたんだよ。でもね、団子を握り締めたまま食べずに死んでいった人もいるんだ。ばかだねえ。万が一、万が一って言って実際その時が来ても気づかず、万が一の時のために備え続けて死んでいったんだよ。」 

後生大事に持ち抱えてしまいには使わず宝の持ち腐れ。持ち物を今回一つ一つ手放してみて、自分は飢えていることにも気づかず団子を大事に取って置いた人によく似ていると気が付きました。使えば役に立つのにその機会をみすみす逃して、どれほどもったいない事をしたかも見えていなかったのです。物は大事に使えばだめになってもそれこそ本望でしょう。これからはありがたく大事にしまうのでなく「使って」あげたいと思います。

Thursday, 6 December 2012

タムタムタイム

子供の頃からラジオを聴くのが好きでした。とはいえ深夜放送でイヤホンを持っていなかったので、ボリュームをなるべく小さくして布団のなかでこっそり聞いていましたが、音が漏れて何度か母に怒鳴り込まれました。
昨日のニュースでジャズの巨匠が亡くなったとありましたが、代表曲を聞いてあっと思いました。その曲こそ当時の私のお気に入り番組のテーマ曲だったからです。巨匠の名はデイブ・ブルーベック、曲名はテイクファイブ。忘れられない番組名はタムタムタイムでした。午前零時から、10分番組に続いてタムタムタイムを20分、さらにコッキーポップを30分聞いて、そのままオールナイトニッポンに突入することもあったので典型的な夜型でした。タムタムタイムのオープニングに流れるソロサックスの音色が吸い込まれるように妖しく、それを聞くだけで毎晩ひどく満足したのを覚えています。当然ながら、授業中よく寝ていたので成績が悪いのは不思議ではありませんでしたが、一日の深い味わいが20分という短い時間にぎゅっと凝縮されたようでした。

Monday, 19 November 2012

It's in the book

92歳のジョンさんは名ばかりのカトリック信者だそうです。教会に行ったことはありません。でもそのおかげで回りまわって戦争捕虜にはなれど、仲間のように処刑されずに済んだのだから、何かあるいは誰かが上から見守ってくれていると信じているそうです。ジョンさんは2度奥さんに先立たれました。最初の奥さんはガンでしたが自宅で彼が精一杯看護をしたそうです。2度目の奥さんはアルツハイマーでしたが自分で看病できなくなると、毎日施設にお見舞いに行ったそうです。身体的、精神的、経済的にも、これほど疲れ果てたことはなかった、と今でもつい思い出してこぼしてしまいます。人間は一人で居てはいけない、そう思ったから15年経って老後を分かち合うために再婚したのに、と恨めしそうですが "It's all in the book" と言って誰を責める様な事はしません。
It's all in the book. 本にちゃんとそう書かれているんだよ。
消して書き直すことのできない本。次に何が書かれているのか覗くことの出来ない本。もちろん飛ばして最後を読む事などできません。誰がいつ書いたのか分からないけど、ちゃんと本にそう書かれているんだよ。

Monday, 5 November 2012

Full Circle 原点に戻ります

日にちはまだ未定だし実感もわきませんが、横浜に引き上げることにしました。全く思いがけず何年ぶりかに母と電話で話したら、頭の中にこびり付いていた母親と見事に違っていました。私に果たして老親の世話ができるのか甚だ疑問です。ゴミ出しくらいならできる、と思っていたらゴミの分別は難しいんだと友人にたしなめられました(泣)。こちらはちょうど年一回の粗大ゴミ回収。ここのお母さんが溜めに溜めていたものをなんとか担いで外に出しました。出した傍から待ち構えた人が品定め、ゴミも宝なり。ゴミに負けないように私も何とか役に立てますように。

Tuesday, 30 October 2012

92歳のジョンさん

日本で戦争捕虜になったジョンさんの話は以前しましたが、同様に数奇な運命を辿って処刑された彼の同僚たちが、この度ようやくウエリントンで政府によって公に悼まれました。ただ一人残されたジョンさんは、わざわざカナダからやってきた息子さんを伴って式典に出席し、献花の大役を高齢ながら立派に果たされました。久しぶりに会って疲れが見えたのは気になりましたが、捕虜収容所であった四国の善通寺の話をはじめ、玉音放送を実際聞いた話など、気が付いたら前回の2倍の時間おじゃましていました。ジョンさんはご自宅で一人住まいです。「仕事」が終わりに近づくどころか、まだまだ途中といった感じで、テーブルには書き物や書籍が以前にも増して山積みでした。Eメールも使いこなす粋なおじいさん、いつまでも元気でいてね。

Tuesday, 23 October 2012

お母さんとコーヒー

カチャカチャカチャと忙しくスプーンでカップをかき回す音がしたら、これは大家のお母さんがインスタントコーヒーを用意している音。この音は私にとって聞きなれたもので、久しぶりに聞いたときの驚きようったらありませんでした! と言うのも、父が同じように、コーヒーをまず少量のお湯で溶かしてカチャカチャカチャカチャとスプーンで忙しくかき混ぜて練るのです。それから彼の場合はホットミルクを注いで、表面に浮かんだミルクの膜ごといただきます。人のくせというのはおもしろいものですが、まさかこんな意外なところで再会するとは思いませんでした。あの忙しくかき回す音は、私がどう真似しようとしても出ません。

アラジンのランプ

 昔、やっと陸勤から開放された船乗りさんにいただいた(たしか)中近東のお土産で、ボトルは色の付いた砂でぎっしり埋まっています。この瓶は長年、きれいな模様がいつまでも崩れず、私にとって懐かしい記憶がよみがえる、と同時にアラジンのランプのような不思議な異文化の象徴でした。海を渡って引越しの度に持ち歩いていましたが、残念な事に今回とうとう模様が崩れてしまいました。処分する前に写真を撮って、ここに記録を残します。山口さん元気ですか?

Saturday, 20 October 2012

50才

親切なおかあさんの家に置いてもらえることになりホッとしています。夏時間だというのにまるで冬の天気。お金も住むところもなかったらとんでもない事になっていました。どうしたら恩返しができるだろう。紹介してくれた元大家さんにも感謝です。私って本当に人の親切に頼ってるわア。いかんな。ほんまにいかん。でも私にできる事はないのが現実だから、素直にありがとうと言うことにします。
11歳のイザベラには赤ちゃんのときに日本人のオーペアがいたそうです。その人がくれた着物を未だとても大事に持っていて、着物の話を来週して欲しいとお父さんに言われました。さあ大変。七五三の写真をググッてと。だいたい七五三ていつ?11月15日ね。先々週はまりこさんの海苔を使っておにぎりを作ったし、折り紙も習字もして文化方面はそろそろしんどい。で、また使わせてもらうのが昔の同期の神前(?)仏前(?)結婚写真。着物ばっちりだしきれいだし。NZで文化交流に一役買っているなんて本人はまさか知らないよね。んふ。

Monday, 24 September 2012

また引越しを考えています

突然リリーさんから連絡があり、彼女のフラットにお邪魔してきました。ノミに刺されて早々にここを引き払った後、職場を訪ねたらやめてしまって音信不通になっていたのです。その後どうしたかと時々思っていましたが、「部屋が見つかったら教える」という約束を何とも律儀に覚えていてくれました!まだ部屋が空くかどうかは定かでないけど、私の意向をちゃんと聞いてその時は大家に言ってくれるそうです。お部屋に今住んでいる人にも会わせてくれ、ぜひお願いしたいと意思表示してきました。ありがたや。
追記:リリーさんは再度突然消えていなくなりました。部屋は事情があってキャンセルしボンド返金で大分損をしました。

前回15歳でいちやくNZパラリンピックのアイドルとなったソフィー・パスコーは、今回のロンドンでもプレッシャーに負けず見事に金銀メダルを期待どおりジャラジャラと獲得し、NZの年間女性最優秀選手の候補にあがるのではないかと言われています。健常者や身体障害者の活躍が騒がれるのに対して、知的障害者のオリンピックはやや地味ですが、スペシャルな人たちのオリンピックも負けずに応援したいと思います。

以前ヤンさんにコートの袖を直してもらった人が、今度は奥さんの英語のレッスンの事でメールしてきました。赤ちゃんを抱えてしかもお金をかけたくないから安いグループレッスンが希望と言われ、この人もケチな金持ち日本人の一人かもと思ってしまいました。ヤンさんが安く利用されたのでない事を願って。91歳のジョンじいさんとエクスチェンジさせたらちょうどいいかも。