Sunday, 10 May 2020
父のヘッドホン
今にして思えば父は早くから難聴でした。でも本人は認めるどころか叫ぶ私の声が小さいと言い返されました。ルックスが大事な「ええかっこしい」のダンディな三宅さんでしたから、補聴器を受け入れたのは随分あとになってからでした。
実家のリビングのテレビのボリュームがどんどん上がり、「うるさい!」と母親に疎まれ別の小さい部屋のテレビが父専用になりました。更にうるさいからヘッドホンで見るよう指示されましたが、途中私が新しいヘッドホンを電気屋で探してあげたら喜びホームに移ってからも使い続けていました。
デスクと本棚とソファとテレビの部屋。結果的に邪魔されずこの部屋で一緒に時代劇をたくさん見る事ができました。御宿かわせみ、鬼平犯科帳、剣客商売は特に好きでしたがヘッドホンのプラグを外すと雷雲に負けない音量でしたから、ヘッドホンから漏れる音声と画像で私は楽しみました。
あの部屋はあっと言う間に、もしかしたら父がまだいる頃から、整理整頓され父の書き物、ファイル等は処分されました。残念だけど口を挟めないのでしょうがありません。そうして私も黙る事を覚えました。それでも物は失くなっても記憶は失くなりません。2年弱あの部屋で一緒に時間を過ごせて本当に良かったです。
父の難聴がヘッドホンのせいで益々悪化したかはわかりません。私も聞こえが良い方ではありませんが、余計な雑音や悪口が聞こえなくて良い反面、好きなおしゃべりもままならず電話も敬遠して引きこもったようでかわいそうでした。
コロナの影響で自分の部屋にこもる中、頭上の世帯主のリビングから重低音が響く度に、イヤホンでラジオを聞いていてふと父のヘッドホンを思い出しました。
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