
八日市の「隠居家」は、そもそも三宅のご隠居が本家と分家から独 立して作ったいわゆるおまけです。
年取った御隠居が一線から退いて次世代に家督を譲ったけど、自分 は身の回りのお世話をしてくれる若夫婦をそっくり養子縁組して迎 えて「家」を作ってしまったのです。
この若夫婦がもしかしたら原田家から呼ばれたかも。そうすると赤 ん坊の宗ちゃんを猫っ可愛がりした「猫んばば」の原田たかのさん と、宗ちゃんを育てたお祖父さんお祖母さんであるこの若夫婦が兄 弟関係にある可能性が出てきます。
若夫婦の名前は伊作さんときんさん。二人の間に生まれた三姉妹は 長女がヨシさん、二女が照代さんで三女が蝶さんです。
若夫婦は三人の娘達に何はともあれ出来るだけの教育を受けさせ、 学校も女の子の足で往復何キロも歩いて通ったそうです。おかげで 照代さんも蝶さんも教員の道を歩み晩年避暑で帰った八日市の実家 では本家分家の子供達にお習字を教えたそうです。
宗ちゃんは自分も同じように毎年帰りたかったのでしょうが、家も 瓦も崩れかけて危ないので更地にして土地もすべて隣の分家に譲渡 しました。と言っても金銭的価値がある訳でなく引き取ってもらい ました。住む家があれば良かったけど叶いませんでした。
とにかく照代さんは金尾さんと結婚してお嫁に行き、蝶さんは山森 さんと結婚してお嫁に行きました。問題は長女のヨシさんです。
戸籍上ヨシさんのご主人は武一郎さんで婿養子ですが、実は伊作さ んもきんさんもこの人が気に入らず、二人の事は認めるどころか結 婚なんてもってのほかでした。
武一郎さんが次から次へと作る借金のおかげで、伊作さんは畑を売 っては返済に回して持っていた土地がどんどんなくなりました。 しまいにはヨシさんと武一郎さん二人でトンズラ、駆け落ち。 そのうち武一郎さんが病気になり、三宅の婿養子になる条件で許さ れました。
戸籍上はヨシさんが養母の宗ちゃんですが、大好きなお祖父さんお 祖母さんの名前を引き継いで良かったのではないでしょうか。
本家と分家の先代はひとしさんとかくじさんでした。お寺さんは浄 土真宗岡山県井原市西明寺。伊作さんが熱心に寄進したそうです。 隠居家は途絶えますが八日市はこれからも栄えますように。
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